こんにちは。大学生向け・学年不問のビジネスコンテスト、CAREER ROOKIES運営事務局です。
本記事では、体験型マーケティングをSNS拡散につなげる具体的なやり方について、パナソニック株式会社および経産省パビリオン「未来発見ロボットWeek」の実例をもとに解説します。
【こんなお悩みを抱える担当者様はぜひご覧ください】
- イベントや体験施策を打っても、SNSで拡散されずに終わってしまう
- Z世代に「自分から発信したい」と思わせるコンテンツが作れていない
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)を増やしたいが、どう設計すればいいかわからない
【この記事でわかること】
- 体験型マーケティングとSNS拡散が相性抜群な理由
- 拡散される体験と「楽しかっただけ」で終わる体験の決定的な違い
- SNS拡散を生む体験設計の4つのポイント
- 実際にZ世代が自ら発信・拡散した企業・自治体の事例
体験型マーケティングとSNS拡散の関係とは
体験型マーケティングとは、消費者が商品・サービスを広告として「見る」のではなく、自分ごととして「体験する」プロセスを通じてブランド認知・購買意欲・ロイヤリティを高めるマーケティング手法のことを指します。
SNS拡散とは、ユーザーが自ら情報を投稿・シェアすることで、企業が広告費をかけずにリーチを広げる現象のことを指します。「バズる」と表現されることも多いですが、偶発的なものだけではなく、設計によって意図的に起こしやすくすることができます。
この2つが組み合わさると何が起きるか。体験した人が「これを誰かに伝えたい」「自分のSNSに残したい」と感じたとき、自発的な発信が生まれます。企業が発信する広告とは異なり、リアルな体験者の声・映像・感情が乗ったコンテンツは信頼性が高く、同世代へのリーチ力も格段に上がります。
よく混同されるのが「SNSキャンペーン」との違いです。SNSキャンペーンはハッシュタグ投稿・プレゼント応募など「投稿させる仕組み」を外側から設ける手法です。一方、体験型マーケティングによるSNS拡散は、体験そのものの質が発信動機になる点が本質的に異なります。仕組みで無理やり投稿させるのではなく、「投稿せずにはいられない体験」を設計するのが正しいアプローチです。
なぜ今、体験型マーケティングがSNS拡散の起点になるのか
広告への信頼が下がり続けている時代に、消費者が最も信頼する情報源は「知人・同世代のリアルな体験談」です。
総務省の情報通信白書によると、10〜20代のSNS利用率は9割を超えており、情報収集の主戦場はすでにSNSです。しかしZ世代は広告に敏感で、「企業が作った感」のあるコンテンツはスキップされやすい。彼らが反応するのは、同世代が体験し、自分の言葉で語ったコンテンツです。
ここに体験型マーケティングの強みがあります。企業がコンテンツを「作って配る」のではなく、体験した人が「自分で作って広める」。この構造を設計できれば、広告費をほとんどかけずにZ世代へのリーチが実現します。特に予算が限られる中小企業・スタートアップにとって、体験設計への投資は最も費用対効果の高いマーケティング戦略のひとつです。
拡散される体験と「楽しかった」で終わる体験の違い
体験を提供するだけではSNS拡散は生まれません。「楽しかった」で完結する体験と、「これをシェアしたい」につながる体験には、明確な設計の差があります。
拡散される体験には、共通して3つの要素があります。①自分が関わった感(当事者性)、②他者に見せたくなる見た目・ストーリー性、③シェアすることで自己表現になる文脈です。
「見る・聞く」だけの体験は消費で終わりますが、「作る・動かす・選ぶ」という能動的な関わりが加わると、参加者は体験に対して当事者意識を持ちます。その体験が映像・写真・ストーリーとして視覚化されており、かつ「これをシェアすることで自分のキャラクターや価値観が伝わる」と感じられるとき、人は自発的に発信します。
逆に言えば、どれだけクオリティの高いイベントを開催しても、参加者が「自分ごと」として関われず、シェアしても自己表現にならない体験は拡散されません。これが「楽しかっただけ」で終わる体験の正体です。
SNS拡散を生む体験型マーケティング4つの設計ポイント
拡散される体験は偶然ではなく、設計の産物です。以下の4つのポイントを押さえることで、体験がSNSでの発信につながる確率を高めることができます。
ポイント①参加者を「制作者」にする|受け取る側から作る側へ
体験の中で参加者が何かを「作った」「決めた」「発案した」という事実は、強力な発信動機になります。自分が関わったものを誰かに見せたいという感情は、Z世代に限らず普遍的なものです。
具体的には、コンテンツの企画・撮影・編集への参加、商品名・キャッチコピーの学生発案、アイデアが実際に採用されるプロセスの可視化などが有効です。「あなたが作った」という事実が、「これを見てほしい」という発信衝動に直結します。
- ◾️ 向いているケース:コンテンツマーケティングと体験を掛け合わせたい・Z世代の当事者性を引き出したい
ポイント②「シェアしたくなる瞬間」を体験の中に設計する|映える・語れる・誇れる
SNSに投稿されるコンテンツには共通のパターンがあります。視覚的にインパクトがある(映える)・人に話したくなるストーリーがある(語れる)・自分の実績や価値観の表明になる(誇れる)の3つです。
体験設計の段階で「この体験のどの瞬間が投稿されるか」を想定し、その瞬間を意図的に演出することが重要です。ロケーション・ビジュアル・セリフ・称号(「ファイナリスト」「アンバサダー」など)は、すべてシェアの動機になります。
- ◾️ 向いているケース:イベント・コンテスト・体験型プログラムでのUGC創出を狙いたい
ポイント③発信者に「文脈」を与える|何のために発信するかを明確にする
人が発信するのは「自分の体験を伝えたい」だけではなく、「この体験に意味があると思ってほしい」という動機も大きく働きます。体験に社会的な文脈(環境・地域・若者・未来など)を紐づけることで、発信することへの意義が生まれます。
「ただ楽しいイベントに参加した」ではなく「社会的に意味のある活動に自分が関わった」という文脈が加わると、参加者は発信することで自己表現ができると感じます。Z世代はとりわけ、社会課題や意義への感度が高い世代です。
- ◾️ 向いているケース:CSR・地域連携・社会課題をテーマにした施策でSNS発信を促したい
ポイント④「発信後」の関係を途切れさせない|拡散を継続させる仕組みを持つ
SNS拡散は一度きりではなく、継続して起きる仕組みを作ることが理想です。参加者が発信した後に企業側がリアクションする・追加コンテンツを提供する・次のフェーズへ招待するという流れを設計することで、発信の連鎖が生まれます。
特に「自分の投稿が企業の公式アカウントで取り上げられた」という体験は、参加者のロイヤリティを一気に高めます。発信した後の関係設計まで含めて体験型マーケティングです。体験当日だけを設計して終わりにするのは、機会損失です。
- ◾️ 向いているケース:ファンコミュニティの育成・アンバサダープログラムの長期運営
4つのポイントを整理すると以下のとおりです。
| 設計ポイント | 発信動機 | 主な手法 | 拡散の持続性 |
|---|---|---|---|
| ①参加者を制作者にする | 「自分が作った」という当事者性 | 共同制作・発案・撮影参加 | 高い(作品として残る) |
| ②シェアしたくなる瞬間を設計する | 映える・語れる・誇れる | ビジュアル演出・称号・ロケーション | 中程度(体験直後が最大) |
| ③発信者に文脈を与える | 「意義ある活動への参加」 | 社会課題・地域・未来との接続 | 高い(意義が続く限り発信される) |
| ④発信後の関係を途切れさせない | 「自分が認められた」という承認 | 公式リアクション・次フェーズへの招待 | 最も高い(連鎖が生まれる) |
SNS拡散を狙う体験型マーケティングの3つの注意点
拡散を意識するあまり、本質を見失うケースがあります。実施前に必ず確認しておくべき落とし穴を整理します。
注意点①「バズらせること」をゴールにするのは禁物です
SNS拡散はあくまでも手段であり、ゴールは「ブランド認知・購買・採用」など事業上の成果です。「バズった」という結果だけを追いかけると、体験の質より見栄えを優先した設計になり、参加者の満足度と発信の熱量が下がります。
体験の質が高ければ、拡散は結果としてついてきます。逆順は成立しません。体験設計の優先順位は常に「参加者にとって意味ある体験か」が最初です。
注意点②「投稿してください」とお願いするだけでは機能しません
体験後に「ぜひSNSに投稿してください」と依頼するだけのアプローチは、自発的な拡散とは本質的に異なります。義務感から投稿されたコンテンツは熱量が低く、フォロワーへの伝播力も弱い。
「投稿したくなる体験」と「投稿してほしいとお願いする施策」は別物です。後者は短期的な投稿数を増やすことはできても、ブランドへの信頼や共感には繋がりません。ハッシュタグの準備よりも、体験の設計に時間をかけることが正解です。
注意点③拡散後のネガティブリスクを想定していないと炎上します
SNSは拡散のスピードが速い分、ネガティブな反応も一気に広がります。体験の内容・参加者への扱い・コンテンツの文脈に問題があると、意図しない批判を受けるリスクがあります。
特に「参加者を無償で動員してコンテンツを搾取している」と受け取られる設計は、Z世代に強く嫌われます。参加者が「自分が得をした・成長した・社会に貢献した」と感じる設計であることが、ネガティブリスクを下げる最も確実な方法です。
よくある質問
Q. 投稿数やリーチなど、SNS拡散の効果はどう測定すればいいですか?
A. まずUGC(ユーザー生成コンテンツ)の件数・インプレッション・エンゲージメント率をKPIとして設定することが基本です。ただし、数値だけでなく「どんな文脈で投稿されたか」という質的な評価も重要です。ブランドにとってポジティブな文脈での投稿が増えているかを確認することで、施策の方向性を修正できます。
Q. SNS発信力のある学生・インフルエンサーを集める必要がありますか?
A. フォロワー数より「体験への熱量」の方が重要です。フォロワーが少なくても、体験への関与度が高い参加者が投稿したコンテンツは、同世代へのリアルな影響力を持ちます。マイクロインフルエンサー(フォロワー1,000〜10,000人規模)の熱量ある投稿の方が、大型インフルエンサーの義務的な投稿より拡散力が高いケースも多くあります。
Q. どこから始めるのがおすすめですか?
A. 「この体験のどの瞬間が投稿されるか」を1つだけ具体的に想像することから始めてください。その瞬間を起点に体験を逆算設計するのが最短ルートです。既存のイベントやプログラムがある場合は、その中に「参加者が制作者になれる場面」を1つ加えるだけで、発信率が大きく変わります。具体的な進め方については、弊社サービスとあわせてご相談いただくことも可能です。
私たちについて:株式会社Strobolights・CAREER ROOKIES・ROOKIES GUILD

株式会社Strobolightsは、大学生の「本気のビジネス体験」を起点に、企業・自治体のマーケティング・採用・ブランディング課題を解決する事業を運営しています。代表の羽田 啓一郎は、マイナビで全社年間MVPを受賞後、キャリア甲子園の立ち上げ・経済産業省の政策提言委員を歴任。2020年に独立起業し、立命館大学 産業社会学部 客員教授および武蔵野大学 非常勤講師・キャリアセンター運営委員も務めています。
CAREER ROOKIESは、大学生向け・学年不問のビジネスコンテストです。1日完結型の「ナンバーシリーズ」と、年1回の「グランプリシリーズ」の2種類を展開。東京証券取引所の後援を受け、決勝大会は東証Arrowsで開催されます。慶應・東大・早稲田・立命館など全国の大学生が参加しており、2025年度のプレエントリーは658名にのぼります。
ROOKIES GUILDは、CAREER ROOKIESに参加した学生のみが加入できる実践型共創コミュニティです。企業・自治体から依頼を受けたプロジェクトを、学生が主体となって企画・実行します。学生のマネジメントおよびアウトプットのクオリティコントロールはStobolightsが全面的に担当するため、企業側の運営工数を最小限に抑えながら、Z世代との本質的な共創が実現できます。「企画だけで終わらないマーケティング」を、学生と企業が一緒に作り上げるプログラムです。
実践事例:Z世代が「自ら発信したくなった」2つのケース
ここまで解説した「①参加者を制作者にする」「②シェアしたくなる瞬間の設計」「③文脈を与える」を実際に組み合わせた事例を紹介します。ROOKIES GUILDを通じて実施されたプロジェクトです。
事例①パナソニック株式会社:学生が「自分たちの作品」として動画をSNS発信

【背景】
パナソニック株式会社のキッチンソリューションBUは、食洗機のZ世代向けプロモーションという課題を抱えていました。外注クリエイターが作る動画では「Z世代がスキップしない文法」を体現しきれないという問題意識が出発点です。
【PHASE 01:ビジネスコンテストで課題を解く】
CAREER ROOKIES GP 関西予選をパナソニック滋賀工場で開催。16チームの学生が食洗機のZ世代向けプロモーション案を競い合いました。工場見学も実施し、製品への理解と当事者意識を醸成した上でアイデアを提案するプロセスが設計されています。
【PHASE 02:企画・脚本・撮影・編集・出演まで学生が完全自主制作】
コンテスト後、有志9名がROOKIES GUILDとして動画制作プロジェクトへ移行。「食洗機彼氏図鑑」というコンセプトは学生発案。立命館大学映像学部生が監督・撮影・編集をリードし、ショート動画全6話を完全自主制作しました。企画から出演まで全工程に関わることで、学生にとって「自分たちの作品」という強い当事者意識が生まれました。
【PHASE 03:プレスリリース配信による拡散】
完成した動画コンテンツはプレスリリースとして配信。制作した学生自身がSNSで発信したことで、Z世代へのオーガニックリーチが生まれました。
【結果と担当者コメント】
参加学生の97%が「パナソニックへのイメージが向上した」と回答。95%が「食洗機を使ってみたい」と答えました。「自分が作った」という当事者性が、発信動機と商品理解の両方を同時に生み出した事例です。
「本プロジェクトを通じて、私たち自身がこれまで気づけなかった視点や価値、新しい切り口に数多く出会うことができました。学生の皆さまならではの柔軟な発想と表現力は、食洗機の価値を改めて見つめ直す大きなきっかけとなっています。」
パナソニック株式会社 キッチンソリューションBU 食洗機SBU|中石 尚吾様
事例②経産省パビリオン「未来発見ロボットWeek」:学生アンバサダーが取材・動画制作・SNS拡散を一気通貫で担当
【背景】
経済産業省が主導する「未来発見ロボットWeek」パビリオンでは、出展企業の魅力をZ世代に届けるパビリオン学生アンバサダーを必要としていました。企業主体の発信ではなく、「未来を創る若者が発信する」という文脈が不可欠でした。
【PHASE 01:CAREER ROOKIES GP2024ファイナリストからアンバサダーを選定】
CAREER ROOKIES GP2024出身の学生4名が、パビリオン学生アンバサダーとして任命されました。ビジネスコンテストで鍛えられた「課題を伝える力・表現力・発信力」がコンセプトに合致し、代理店を通じた選定を経て任命されています。
【PHASE 02:出展企業を学生が取材・ショート動画制作・SNS拡散】
トヨタ・ファナックなど先端ロボット開発に取り組む8社をアンバサダー学生が直接取材。その様子をショート動画にまとめ、XやInstagramで発信しました。企業PRではなく、「学生が実際に見て感じたこと」を発信する形式にすることで、Z世代への伝播力を高めました。
【PHASE 03:オープニングレセプションにメイン登壇・パビリオン公式SNSでも露出】
パビリオン初日のオープニングレセプションに学生がメインとして登壇。その様子はニュースやパビリオン公式SNSでも取り上げられ、学生発信コンテンツが公式チャンネルを通じてさらに広く拡散されました。
【成果】
「未来発見ロボットWeek」というテーマと学生というキャラクターの文脈が一致したことで、企業主体のPRでは生み出せないコンテンツが生まれました。学生が「発信する理由(文脈)」を持っていたことが、オーガニックな拡散の源泉です。
上記のような「Z世代が自ら発信したくなる体験型共創プログラム」について、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ:「拡散させる」ではなく「拡散したくなる体験を作る」が正解です
SNS拡散は、仕掛けるものではなく、設計から生まれるものです。参加者が「自分ごと」として関わり、「これを誰かに見せたい」と感じる体験を作ることが、すべての出発点です。
ハッシュタグを用意して投稿を依頼するのではなく、投稿せずにはいられない体験を設計する。Z世代へのリーチに悩む企業ほど、この発想の転換が突破口になります。
Z世代との体験型共創によるSNS拡散の具体的な進め方や費用感については、ぜひお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール

羽田 啓一郎
株式会社Strobolights 代表取締役
立命館大学 産業社会学部 客員教授/武蔵野大学 非常勤講師・キャリアセンター運営委員
新卒でマイナビ(旧・毎日コミュニケーションズ)に入社し、新卒採用営業に従事。外資IT・エアライン・総合商社など大手企業を担当し全社年間MVPを受賞。その後キャリア教育事業責任者としてキャリア甲子園を立ち上げ、経済産業省の政策提言委員も歴任。2020年に独立起業し、複数大学でキャリアプログラムを担当しながら、CAREER ROOKIESおよびROOKIES GUILDを運営。