体験型マーケティングが向いている業種・向いていない業種とは

こんにちは。大学生向け・学年不問のビジネスコンテスト、CAREER ROOKIES運営事務局です。

本記事では、体験型マーケティングが向いている業種・向いていない業種について、メーカー・自治体・行政パビリオンの実例をもとに解説します。

【こんなお悩みを抱える担当者様はぜひご覧ください】

  • 体験型マーケティングに興味はあるが、自社の業種に合うかどうかわからない
  • 「うちの商品・サービスは体験させにくい」と思って踏み出せていない
  • 同業他社の事例がなく、自社での効果がイメージできない

【この記事でわかること】

  • 体験型マーケティングが「向いている業種」の共通条件
  • 一見向いていなそうで実は活用できる業種のパターン
  • 本当に向いていないケースと、その場合の代替アプローチ
  • 業種別の実践事例と成果

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目次

体験型マーケティングとは何か:向き不向きを判断する前に

体験型マーケティングとは、消費者や顧客が商品・サービス・ブランドを広告として「見る」のではなく、能動的に「体験する」プロセスを通じてブランド認知・購買意欲・ロイヤリティを高めるマーケティング手法のことを指します。

向き不向きを判断するうえで重要なのは、「体験」の定義を広く持つことです。体験型マーケティングは、実店舗での商品試用や大規模イベントだけを指すわけではありません。ワークショップ・共同制作・ビジネスコンテスト・フィールドワーク・アンバサダープログラムなども体験型マーケティングの一形態です。

「うちの商品は体験させにくい」という先入観で可能性を狭めているケースは多くあります。本記事では、業種ごとの向き不向きの判断基準と、一見難しそうに見えて実は活用できるパターンを整理します。

なぜ業種によって向き不向きが生まれるのか

体験型マーケティングの向き不向きは、商品・サービスの性質だけでなく、「誰に・何を体験させるか」の設計余地があるかどうかで決まります。

向いている業種に共通するのは、①ターゲット層が体験を通じて価値を実感しやすい、②体験後に「誰かに伝えたくなる」動機が生まれやすい、③体験が購買・採用・関係構築などの具体的な成果に紐づきやすい、という3つの条件です。

逆に向いていないケースは、体験設計そのものが困難な場合というより、体験と成果の間の距離が遠すぎて測定・改善が難しい場合がほとんどです。「向いていない業種」というより「設計が難しいケース」と捉える方が正確です。

体験型マーケティングが向いている業種・活用パターン

以下の業種・状況は、体験型マーケティングの効果が出やすいパターンです。ただし同じ業種でも設計次第で結果は大きく変わります。

向いている①消費財メーカー|「使ってみて初めてわかる価値」がある商品

食品・日用品・家電・化粧品など、実際に使用することで価値が伝わる商品は体験型マーケティングと高い親和性を持ちます。スペックや価格だけでは差別化しにくい市場ほど、「体験した人の言葉」が購買決定に与える影響が大きくなります。

特に有効なのが、ターゲット層を「体験者」だけでなく「共同制作者」として巻き込む手法です。商品を使ってもらうだけでなく、プロモーションの企画・制作・発信まで担ってもらうことで、体験者自身がブランドの発信者になります。

  • ◾️ 特に有効なケース:新商品の認知拡大・Z世代への訴求・UGC創出を狙いたい

向いている②自治体・地域|「来て・見て・感じる」体験が価値になる

観光・移住促進・地域活性化を目的とする自治体・地域は、フィールドワーク型の体験設計と非常に相性が良いです。ウェブサイトやパンフレットでは伝わらない「地域の空気感・人・文化」を、実際に訪問・体験することで伝えられます。

また自治体は、Z世代との共創という文脈で体験型マーケティングを活用できます。「若者が地域課題を一緒に考える」という体験設計は、参加者にとって自己表現・社会貢献の場にもなり、SNS発信やロイヤリティ形成につながります。

  • ◾️ 特に有効なケース:移住・交流人口の増加・Z世代との接点づくり・地域ブランディング

向いている③BtoB企業・産業財メーカー|「一見体験させにくい」が実は好機

「うちはBtoBだから体験型マーケティングは難しい」という声をよく聞きますが、これは誤解です。BtoB企業・産業財メーカーにとって体験型マーケティングが有効なのは、採用・認知・次世代顧客の育成という文脈です。

工場見学・技術体験・学生向けビジネスコンテストへの課題提供などは、現在の購買担当者ではなく「将来の意思決定者」との接点を作ります。Z世代の学生が「この会社の技術はすごい」と体験を通じて感じれば、就職・将来の取引・口コミへとつながります。

  • ◾️ 特に有効なケース:採用母集団の拡大・若年層への認知獲得・企業ブランディング

向いている④行政・公共機関|「社会的文脈」がZ世代の発信動機になる

経済産業省・文部科学省などの行政機関や公共パビリオンは、「未来・社会・テクノロジー」という文脈との親和性が高く、Z世代の「社会に関わりたい」という動機と合致します。学生アンバサダー型の体験プログラムは、参加者にとって「意義ある活動への参加」として自発的な発信動機を生みます。

行政・公共機関の発信は「堅い・難しい」と受け取られやすい傾向がありますが、Z世代当事者が体験・発信する形式にすることで、同世代へのリーチと共感を一気に高めることができます。

  • ◾️ 特に有効なケース:若年層への政策・取り組みの認知拡大・SNS拡散・アンバサダー型PR

体験型マーケティングが向いていないケースと代替アプローチ

すべての業種・状況に体験型マーケティングが最適解というわけではありません。以下のケースでは、別のアプローチと組み合わせることを検討してください。

向いていない①購買サイクルが極端に長いBtoB取引

数年単位の商談・複数の意思決定者が関与する大型BtoB取引は、体験型マーケティング単体で購買に直結させることは難しいです。ただし「採用・認知・関係構築」という長期的な布石として活用することは有効です。体験型マーケティングを「即効施策」としてではなく「関係資産の積み上げ」として位置づけることで機能します。

向いていない②参加者のプライバシーや守秘義務が厳しい業種

医療・法務・金融など、顧客情報の守秘義務が厳格な業種は、体験のコンテンツ化・SNS発信との相性が悪いケースがあります。体験設計はできても「発信・拡散」のフェーズに制約がかかるため、効果測定の範囲が限られます。この場合は社内・クローズドなコミュニティでの体験型プログラムに絞る方が現実的です。

向いていない③体験設計にかけるリソースが全くない状態

体験型マーケティングは「場を作れば成立する」ものではありません。参加者の当事者意識を引き出す設計・ファシリテーション・フォローアップが必要です。これらを担う人・時間・知見がまったくない状態で実施すると、「楽しかっただけ」で終わるリスクが高い。まず設計パートナーを確保してから実施することが正解です。


業種別の向き不向きを比較表で整理します。

業種・状況 向き不向き 主な活用目的 注意点
消費財メーカー(食品・家電・日用品) ◎ 向いている 商品体験・UGC創出・Z世代訴求 「使わせるだけ」で終わらない設計が必要
自治体・地域 ◎ 向いている 移住促進・地域ブランディング・Z世代共創 フィールドワーク後の継続関係設計が重要
BtoB企業・産業財メーカー ○ 向いている(採用・認知目的で) 採用・若年層認知・企業ブランディング 即購買への直結は難しい。長期視点が必要
行政・公共機関 ○ 向いている 若年層への認知・アンバサダー型PR 学生の発信文脈との整合性を設計段階で確認
出版・メディア ○ 向いている コンテンツ体験・Z世代ユーザー獲得 「読む・使う体験」を能動的に設計する工夫が必要
大型BtoB(長期商談) △ 限定的 採用・関係構築の布石として 即効性を期待しないこと
医療・法務・金融(守秘義務厳格) △ 条件付き クローズドな体験型研修・コミュニティ形成 SNS発信・コンテンツ化に制約あり

体験型マーケティングの業種選定で失敗しないための3つの注意点

業種が「向いている」とわかっても、設計を誤れば効果は出ません。実施前に確認すべき注意点を整理します。

注意点①「同業他社がやっていないから向いていない」は誤りです

体験型マーケティングの事例が少ない業種は、「向いていない」のではなく「まだ誰も試していない」ケースがほとんどです。先行事例がないことは、差別化のチャンスでもあります。業界内での横並びではなく、「自社のターゲットが体験を通じて何を感じるか」を起点に判断することが正解です。

注意点②「商品が地味だから体験型は無理」という思い込みは禁物です

食洗機・業界地図・産業用ロボットなど、一見「地味」に見える商品でも、体験設計次第でZ世代が熱量を持って関わる事例が生まれています。重要なのは商品の華やかさではなく、「その商品・テーマを通じて参加者が何を学び・感じ・表現できるか」という設計の視点です。

注意点③業種で判断する前に「誰に届けたいか」を先に決めてください

体験型マーケティングの向き不向きは、業種よりも「ターゲット像」で決まる部分が大きい。Z世代・学生・若手社会人など、能動的に関わることに抵抗感が低く、体験をSNSで発信する習慣を持つ層をターゲットにする場合、業種を問わず体験型マーケティングは機能しやすくなります。「自社の業種は?」より「自社のターゲットは誰か?」を先に問うことが正解です。

よくある質問

Q. サービス業(無形商材)は体験型マーケティングに向いていますか?

A. 向いています。無形商材こそ「体験させることで価値が伝わる」ケースが多い。コンサルティング・教育・SaaSなどは、実際に一部を体験・試用するワークショップ形式や、ユーザーが活用事例を共同で作るプログラムが有効です。「形がないから体験させられない」ではなく「形がないからこそ体験で差がつく」と考えることが重要です。

Q. 予算が少ない中小企業でも業種関係なく実施できますか?

A. 実施できます。体験型マーケティングのコストは「会場・制作・広告」などのハードコストより「設計と関係構築」への投資が中心です。既存のコミュニティ・教育機関・学生団体と連携する形を取れば、数十万円の予算でも十分に実施できます。業種よりも「誰を巻き込むか」の設計の方がコストに直結します。

Q. 自社が向いているかどうか、どうやって判断すればいいですか?

A. 「自社のターゲット層が、体験を通じて何を感じ、誰に伝えたくなるか」を1つ具体的に想像できるかどうかが判断基準です。それが描けるなら向いています。描けない場合は、体験の設計から一緒に考えるパートナーを探すことが先決です。具体的な進め方については、弊社サービスとあわせてご相談いただくことも可能です。


私たちについて:株式会社Strobolights・CAREER ROOKIES・ROOKIES GUILD

株式会社Strobolightsは、大学生の「本気のビジネス体験」を起点に、企業・自治体のマーケティング・採用・ブランディング課題を解決する事業を運営しています。代表の羽田 啓一郎は、マイナビで全社年間MVPを受賞後、キャリア甲子園の立ち上げ・経済産業省の政策提言委員を歴任。2020年に独立起業し、立命館大学 産業社会学部 客員教授および武蔵野大学 非常勤講師・キャリアセンター運営委員も務めています。

CAREER ROOKIESは、大学生向け・学年不問のビジネスコンテストです。1日完結型の「ナンバーシリーズ」と、年1回の「グランプリシリーズ」の2種類を展開。東京証券取引所の後援を受け、決勝大会は東証Arrowsで開催されます。慶應・東大・早稲田・立命館など全国の大学生が参加しており、2025年度のプレエントリーは658名にのぼります。

ROOKIES GUILDは、CAREER ROOKIESに参加した学生のみが加入できる実践型共創コミュニティです。企業・自治体から依頼を受けたプロジェクトを、学生が主体となって企画・実行します。学生のマネジメントおよびアウトプットのクオリティコントロールはStobolightsが全面的に担当するため、企業側の運営工数を最小限に抑えながら、Z世代との本質的な共創が実現できます。「企画だけで終わらないマーケティング」を、学生と企業が一緒に作り上げるプログラムです。

実践事例:業種を超えて体験型マーケティングが機能した3つのケース

ここまで解説した「向いている業種」のパターンを、実際に体現した事例を紹介します。消費財メーカー・自治体・行政パビリオンと、異なる業種・領域でROOKIES GUILDが関わったプロジェクトです。

事例①パナソニック株式会社(消費財メーカー):「地味な家電」をZ世代が熱量を持って発信

【背景】
食洗機は「便利だとわかっているが、Z世代には刺さりにくい」商品の典型です。パナソニック株式会社のキッチンソリューションBUは、Z世代当事者を巻き込んだプロモーション設計を模索していました。

【実施内容】
CAREER ROOKIES GP 関西予選をパナソニック滋賀工場で開催し、16チームの学生が食洗機のZ世代向けプロモーション案を競いました。その後ROOKIES GUILDとして有志9名が動画の企画・脚本・撮影・編集を完全自主制作(全6話)。「食洗機彼氏図鑑」というコンセプトは学生発案で、立命館大学映像学部生が監督を務めました。

【成果】
参加学生の97%が「パナソニックへのイメージが向上した」と回答。95%が「食洗機を使ってみたい」と答えました。「地味な家電」をZ世代が当事者として発信することで、同世代への説得力ある訴求が実現しました。

「本プロジェクトを通じて、私たち自身がこれまで気づけなかった視点や価値、新しい切り口に数多く出会うことができました。学生の皆さまならではの柔軟な発想と表現力は、食洗機の価値を改めて見つめ直す大きなきっかけとなっています。」

パナソニック株式会社 キッチンソリューションBU 食洗機SBU|中石 尚吾様

事例詳細ページはこちら

事例②北海道上川町(自治体):フィールドワーク体験が「社会実装フェーズ」への移行を実現

【背景】
北海道上川町は「感動人口」という独自概念を軸に、Z世代との地域共創を模索していました。ウェブや資料では伝わらない地域の魅力を、実体験を通じて届けることが課題でした。

【実施内容】
CAREER ROOKIES 8(東京・1日完結型)をきっかけに、優勝チームを上川町に招待し2泊3日のフィールドワークを実施。役場訪問・街歩き・スノーアクティビティ体験・北大生との議論を経て、「実装案+新提案」の2軸で役場へ最終プレゼンを行いました。

【成果】
1日のビジネスコンテストを起点に、フィールドワーク→役場プレゼン→社会実装協議という一連のフェーズへと発展。自治体が体験型マーケティングを活用することで、移住・関係人口の創出という長期的な成果に向けた関係性が構築されました。

「実際に上川町に来て、地域の魅力や課題に向き合いながら行動してくれる姿が印象的で、柔軟な発想や前向きなエネルギーに多くの刺激をもらいました」

上川町役場職員 東京事務所|三谷 航平様

上川町事例(note)を読む

事例③経産省パビリオン「未来発見ロボットWeek」(行政・公共機関):学生アンバサダーがZ世代への発信を担う

学生アンバサダーの活動の様子をInstagramで見る

【背景】
経済産業省が主導する「未来発見ロボットWeek」パビリオンは、先端ロボット技術をZ世代に届けるという課題を持っていました。行政・公共機関の発信は「堅い」と受け取られやすく、Z世代への浸透に課題がありました。

【実施内容】
CAREER ROOKIES GP2024出身の学生4名がパビリオン学生アンバサダーとして任命。トヨタ・ファナックなど先端ロボット開発に取り組む8社を学生が直接取材し、ショート動画を制作・XやInstagramで発信しました。パビリオン初日のオープニングレセプションにはメインとして登壇しました。

【成果】
学生が制作・発信したコンテンツはニュースおよびパビリオン公式SNSでも取り上げられました。「行政が発信する広報」ではなく「Z世代が体験して語るコンテンツ」にすることで、同世代への信頼性の高いリーチが実現した事例です。


自社の業種・状況に体験型マーケティングが合うかどうか、まずはお気軽にご相談ください。

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まとめ:「業種が向いているか」より「誰に・何を体験させるか」が正解です

体験型マーケティングの向き不向きは、業種の属性よりも「ターゲット像と体験設計の組み合わせ」で決まります。食洗機・自治体・産業用ロボットという一見「体験型と縁遠い」領域でも、Z世代を巻き込んだ設計によって高い成果が出ています。

「自社の業種は向いているのか」という問いより、「自社のターゲットが体験を通じて何を感じ、誰に伝えたくなるか」を先に考えてください。その答えが描けた時点で、業種を問わず体験型マーケティングは機能します。

自社への活用可能性や具体的な進め方については、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者プロフィール

羽田 啓一郎
株式会社Strobolights 代表取締役
立命館大学 産業社会学部 客員教授/武蔵野大学 非常勤講師・キャリアセンター運営委員

新卒でマイナビ(旧・毎日コミュニケーションズ)に入社し、新卒採用営業に従事。外資IT・エアライン・総合商社など大手企業を担当し全社年間MVPを受賞。その後キャリア教育事業責任者としてキャリア甲子園を立ち上げ、経済産業省の政策提言委員も歴任。2020年に独立起業し、複数大学でキャリアプログラムを担当しながら、CAREER ROOKIESおよびROOKIES GUILDを運営。

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